国の生産性のキモは製造業で決まるわけではないわけではない

日本とドイツはここ10年、経済は殆ど伸びていない。
対して、伸びているのがイギリスとアメリカである。
そして、これらの国の成長を支えているのは製造業ではない。
金融などの情報工学を基礎とする産業によって、投資機会が圧倒的に広がった為だ。
効率ではない、機会が広がったのだ。日本人が想定している市場より、彼らの想定している市場のほうが大きくなっているのだ。

http://anond.hatelabo.jp/20070212044554

ほんとですかぁ?アメリカを例にとっても、過去10年の生産性の伸びは、

出典:http://www.bls.gov/news.release/prod2.nr0.htm 縦軸は前年比の伸び率(%)
で、製造業の効率(生産性)アップが全体をリードしているように見えますけどねぇ。

そして、トヨタがあれほど稼いでいるのは製造業だからではない。豊富な資金を元に下請け会社と共同で商品を作り上げるシステムや、アフターサービスが秀逸と認められているからである。
付加価値の基準で言えば車を作るという価値よりも、そちらのほうが遥かに重要じゃないかと。

http://anond.hatelabo.jp/20070212044554

トヨタのジャストインタイム生産を支えているのが、多くの下請企業や、トヨタの工場の門前に列を成すトラックの運転手であることは、もちろんです。
そういった付加価値の総和が、自動車という最終製品の付加価値になっているのです。


そういう意味で言えば、「金融」とやらも、物流と何も変わりません。
金融とは、ただ単にお金を動かせば付加価値が生み出せるというものではなく、余剰のあるところから、必要のあるところへ資金を配分するから付加価値があるのです。
資金の必要のあるところ、いわゆる実業(≒製造業)があってこそ、金融は存在価値があるのです。
「効率ではなく機会」とおっしゃいますが、効率のための機会です。生産効率のためにトラックの運転手が部品を運ぶのも、金融も、一緒です。
お金がなくて設備投資ができないところに、お金を運んでくるから、金融は価値があるのです。(あくまで一例)
そういう意味で、モルガンスタンレーやゴールドマンサックスや野村証券の社員も、トラックの運転手も、同列です。
ただ単に、需要と供給で、賃金が決まっているだけです。


確かに、金融で成り立っている国や地域もあるかもしれません。ルクセンブルクとか、香港とか、シンガポールとか、離れ小島のタックスヘイブンとか。
ですが、金融は、あくまで陰の存在です。裏方です。主役にはなりえません。それらは狭い経済域であり、域外の製造業に依存しているからこそ成り立っているのです。
アメリカとか日本という大きな単位では、やはり現時点では製造業が生産性を大きく支配しているといっていいと思います。
ということで、

所得水準は、社会の平均的な生産性で決まる――そしてそれを引き上げているのは製造業だ

http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20070211/p1

は妥当な結論だと思います。




#それから、金融は情報工学を基礎とする、って、ちょっと言いすぎじゃね?
#あと、私は経済学を体系的に習ったことのない、ただのSEですので、ツッコミ・指摘大歓迎です。




追記:

なぜ日本の製造業は魅力を失っているのかをだれかだれか

http://b.hatena.ne.jp/sea_side/20070212#bookmark-3950332

えーっと・・・私は「日本の製造業は魅力を失って」なんかいないと思っています。
製造業の集積地の代表格「名古屋」も、いろんな経済誌で特集が「今元気な都市!」と組まれるほどですし。
データも示しておきましょう。

出典:http://www.meti.go.jp/statistics/downloadfiles/h2a2811j.pdf 4/50ページ目
これはいい右肩上がりのグラフですね!