『賃貸よりも・・・』を批判してみる、を批判してみる。


賃貸派が240万円の差をつけて勝利でした。
不動産屋のラノベ読み - 『賃貸よりも、実は買ったほうがトク!』を批判してみる

このエントリーは大事なことを忘れて(か、あえて書かずに?)いますね。


家賃って何も残らないお金ですよね。それだったら家を買ってしまった方が、(価値が下がったりするにしても)いつか自分の所有物になるのだから良いと思うのですが、(以下略)
はてな人力検索 http://q.hatena.ne.jp/1187139671

そう、買えば、何かが『残る』ということです。(*1)

賃貸派が240万円の差で勝利、とのことですが、ここには『残っているもの』が計算に入っていません。
10年経過後ではまだローンが残っていますので、ここではローン完済時、このシミュレーションでは35年経過後、を考えてみます。

最初の10年では、賃貸派が240万円の差で賃貸派のほうが有利でした。ここには、初期費用90万円が含まれています。
これは最初しかかかりませんので、それ以降は、10年ごとに150万円賃貸派が有利になります。
計算すると、35年間では、240 + 150 + 150 + 75 = 615万円 賃貸派が有利になります。(*2)

つまり、超おおざっぱに言ってしまえば、購入派は、築35年のマンションを615万円で手に入れているのと一緒と言えます。

だいたい、新築の2LDKが3,000万円くらいで買えるところなら、築35年の同じくらいの広さの2LDKは600〜1,100万円くらいが相場でしょうか?
つまり、だいたい賃貸派も購入派もイーブンぐらいになっています。

そりゃそうです。自由な市場競争下にあるわけですから、
「神の見えざる手」によって、自然とどちらかが極端に有利ということはないようになるのです。

あとは、自由がきかないとか、仕事上引越しが多いとか、結婚するかもしれないとか、隣に嫌な住民がいたらどうしようとか、管理組合の役員したくないとか、
賃貸は造りが分譲より悪いとか、リフォームが自由だとか、年取ったら賃貸入居断られるかもとか、親から援助してもらえるとか、自分の家を持って一人前と思っているとか、
そういう点(まぁ言ってしまえば好みの範疇)で決めたら良い話だと私は思います。

結論。賃貸も購入も良し悪し。好みやライフスタイルで決めましょう!




あと、最後に強力に非難したいのは、


ちなみに、一番経済的に合理性がある住居は「親と同居」です。『パラサイト』とか『イエ男くん』とか、お前らバカかって感じです。
不動産屋のラノベ読み - 『賃貸よりも、実は買ったほうがトク!』を批判してみる

経済合理性だけ見ればそうかもしれません。ですが、
「結婚しよう。で、結婚しても親と一緒に住むのが "経済合理的" だからそうしようよ!」
とか言われると、まぁ困っちゃいますよね。

要は、自立心(マザコン回避)とか、家事の大変さをわかってるとか、そういうところがむしろポイントなわけで・・・
経済合理性で全てを語れるわけないじゃないですか。人はパンのみにて生きるに非ず(マタイ伝第4章第4節)です。




(*1)
はてブでも誰も指摘していないのはなぜだろう?


(*2)
細かい話をすると、ここまで長期になるなら、頭金の運用利益を複利計算したほうがよいでしょう。今の金利水準なら35年で倍程度? さらに+300万賃貸派有利と見てもいいかもしれません。
また、固定資産税・都市計画税は建物分が減価償却して安くなっていきます。その分一般には修繕積立金が高くなっていきます。これはケースバイケースですね。(新築時の)明らかに安すぎる管理費や修繕積立金の設定は疑うべきでしょう。


(*3)
個人的な話をすると、実は私は、人力検索で質問をしていたOLさんと同い年(31歳)です。
私は6年前にマンション買いました。郊外ではなくて都心。2LDKもない。もっとずっと狭いやつ。しかも中古。しかも競売物件
「投資用物件に好適」と不動産屋の宣伝文句なら書いてありそうなやつです。
都心物件のほうが、築年数が経過したときの減価率が少ないんですよね。土地持分の値段の割合が高いとか、あと立地の希少性とか。
投資用としてもペイする物を買ったので、結婚等のライフイベントにも対応できる(貸せばいい)し。
『投資用としてもペイする。なら、自分で住めば(自分自身が賃借人なら)、家賃に対して所得税も住民税もかからない分、もっと得じゃね?』
という考えです。あの質問された方も、郊外に2LDKなんてファミリー向けを買うとは限らないと思うんだけどなぁ・・・。
6年前ならまだしも、今の都心はバブルで成り立たない気もするけど。