ITゼネコンは永遠に不滅、か?


日本Javaユーザグループ主催で、クロスコミュニティカンファレンス(CCC)が、4/30日に行なわれます。その中で私も「ITゼネコンをぶっつぶせ」というテーマでBOFをやるので、興味のある方はぜひおいでください。
ITゼネコンをぶっつぶせ - ひがやすを blog

東京なのでいけないのが残念ですが、面白そうなBOFだと思います。やろうとしていることには非常に賛同します。
ただ、非常に難しいだろうな、と思います。


そんな難しいことじゃない。プログラミングを教えるコストは、もちろんかかるけど、そのおかげで、プログラム設計書を書かなくてもすむようになるなら、十分すぎるほど元が取れると思う。
プログラミングできない元請けがプログラム設計書をレビューするという矛盾 - ひがやすを blog

こういうことが、現実には非常に難しいからです。
まず、システム管理基準に、こんな記述があります。


3.プログラム設計(5)
(1)プログラム設計書は、開発の責任者が承認すること。
4.プログラミング(4)
(1)プログラム設計書に基づいてプログラミングすること。
システム管理基準 - 経済産業省

完全に、ひがさんの提案と矛盾してしまいます。
で、この「システム管理基準」という代物は、


システム管理基準は、本管理基準と姉妹編をなすシステム監査基準に従って監査を行う場合、原則として、監査人が監査上の判断の尺度として用いるべき基準となる。
システム管理基準 - 経済産業省

と書いてあるとおり、監査上の判断の尺度となるものなのです。
IT全般統制という黒船が到来しようとしている今、おおっぴらに「プログラム設計書を書かない!」なんてことは、多分上場企業の役員さんは言えないでしょう。なにしろ、向こうには経済産業省謹製の「錦の御旗」があるのですから。残念ながら、滝派(*1)管理脳が官軍で、アジャイラーは賊軍(*2)なのです。

また、これ以外にも、こういう公的規格の類(ISO9000シリーズ、CMMIISMS、COBIT、PCI DSS、プライバシーマークITILPMBOK などなど )がたくさんあり、対応には人手とお金がかかるため、対応できるのは規模と資本力(と政治力?)のあるITゼネコンだけとなってしまっていますね。新興勢力に対する参入障壁として働いていると思います。

こうしてITゼネコンは生き残り、「管理」が尊ばれる現状が変わる気配はなさそうだなぁ、と私は思います。




(*1)滝派=ウォーターフォール
(*2)だいたい、アジャイルは全社的なプラクティスではなく、現場でのゲリラ的活動として行われていますよね。まぁこういう「ゲリラ的活動」の戦記も痛快で面白いんだけど。角野 泰次さんの五十六メソッドとか。