日本的システム開発


日本の力の源泉だ、と思っているポイントは「正確さ+お金に惑わされない正直さ」に尽きると思います。トヨタにしてもキャノンにしてもその日本人の力が製品に反映されているのです。
日本ブランド - 債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら

そうですね。逆に言うと、「法/契約」による強制には、それだけコストがかかるということだと思います。

システム開発の世界では、契約をあいまいにした「日本的」なやり方が、これまでは悪いやり方だとされてきました。役割ごとに分業をして、その役割への input と output をレビューで承認されたドキュメントによって確定してから次工程に進む、という欧米流・ISO9001流のやり方が「正しい」とされてきました。

しかし、トヨタキヤノンといった会社の「強み」は、むしろ「日本的」なやり方の中にあると私は思います。


「すりあわせの製品開発」というのは、完全な分業ではないところに特徴があります。組織においてもマネジメントにおいても、プロセスがシームレスなのです。例えば、製品エンジニアと生産エンジニアが協力し合い金型などを共同開発する、生産エンジニアが試作初期段階で設計についてテストし問題をフィードバックするなど、このほかにもさまざまなことがあてはまります。製品開発を「すりあわせ型」方式でやっているところが、日本の自動車メーカーの強みなのではないでしょうか。
他方、外部に製造工程を出し、完全な分業を行うものを「モジュラー型製品」と呼びます。このモジュラー型の製品の開発はアメリカが強いようです。まだ、正式な論文になる前のディスカッションペーパーの段階ですが、日本はすりあわせ型の開発が向いており強いといえるようです。
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー: 「すりあわせ型」の製品開発

これをシステム開発の世界の言葉にするなら、

ですね。
「正確さ+お金に惑わされない正直さ」が日本の強みであるなら、それを生かしたアジャイル開発がもっと日の目を浴びていいはずです。分業制のウォーターフォールは、「疑うコスト」=「コミュニケーションロス」が大きくなってしまうということは認識すべきでしょう。


データもこれまでのやり方だと、今後の成長は望めないから、違うビジネスモデルを試行錯誤しているわけです。それが、「自動車産業のまねをすること」とはがっかりですが、危機感を持って変わろうとしている。
NTTデータの黒船コンプレックス - ひがやすを blog

そういう意味で、「自動車産業のまね」も必ずしも悪くはないと思います。従来の「外部に製造工程を出し、完全な分業を行うモジュラー型」のシステム開発をやめて、「すりあわせ型」を目指せばいいんですから!
トヨタ自動車が、外部ではなく、自社で組立作業員を採用している(*1)ことの意味を、 工場の生産現場の作業員が、業務のやり方や製品設計のカイゼン要求を出すことの意味を、データの社長さんはどう考えているのでしょうね?



(*1): 主に(正社員ではなく)期間工だし、「自動車絶望工場」とかまぁいろいろ言われてはいますが…