派遣問題と『一段階論理の正義』


派遣はなくなるが、日本の雇用そのものが空洞化し、国外に移転する。
派遣がなくなった代わりに、失業者が増えてしまう。

そうですね。歴史に習ってみましょう。

労働者派遣法が改正され、製造業への派遣が可能になったのは2004年ですが、


一方で、わが国製造業の国内設備投資と海外設備投資の関係をみると、2003年度に国内設備投資は反転し、特に2004年度は大きく増加している。
 こうした動きの背景として、最近のわが国製造業の事業強化の方向性について、海外事業の強化姿勢に大きな変化がないなか、国内事業についてはこの2年ほどで強化する姿勢が強まっていることを、国際協力銀行の「海外直接投資アンケート結果(2000〜2005年)」からみて挙げている。

という形で、製造業の国内回帰の動きと、労働者派遣法の改正は明確にリンクしているのです。(参考)
逆に言えば、派遣がなくなれば、日本の雇用そのものが空洞化し、工場は再び国外に移転するでしょう。

派遣社員を含む非正規雇用と、正規雇用(正社員)の格差の問題は取り組むべき課題ですが、単純に「じゃあ派遣を禁止しよう。非正規雇用を禁止して正社員しか雇えないように法改正しよう!」というのは危険だと思います。
これは典型的な一段階論理の正義であり、ジンバブエの例を笑えない結末になるかもしれません。

私見では、むしろ正社員の解雇規制を廃する方向で、非正規雇用と、正規雇用(正社員)の格差の問題に取り組むべきだと思います。以下参考。


http://mojix.org/2008/05/28/revive_japan_economy
雇用規制撤廃と減税で日本経済は再生する

http://mojix.org/2008/06/02/kawarenai_nihon
IT産業を呪縛する 「変われない日本」 - Zopeジャンキー日記

http://mojix.org/2008/06/03/what_if_fluid_employment
解雇規制がなくなり、雇用流動性が増すとどうなるのか - Zopeジャンキー日記