「ものづくりのDNA」なんて幻想だ!

今日読んだコラム


若者のせいにしてはいけないこういう製造業の将来という話になると、大企業の経営者は必ず今の若者が良くないと文句を言いますよね。先日もある有名な方が「松浦さん、東京の渋谷とか新宿とかに行ってごらんなさいよ。もう、ろくでもないのがたまっていて、あれが日本を減ほすんだ」なんてことを言う。ぼくはそれを聞いて、すぐ新宿に行ってみたんですよ。ところが、ぼくがうろうろしていたころとちっとも変わってないんだ。ぼくも19歳から23歳くらいまでの時は、それこそ新宿とかうろうろしてましたがね。あのころは有楽町もでしたけど。もう、当時の人は誰もいないですよね。みんな60歳70歳になって。今いる人の平均年齢はやっぱり20歳くらいでしょ。一定の通過点としてあそこにいるだけで、定着する若者はいないんだよね。だから何の心配もないってことですよ。
偉い人たちはいったい何を見ているんでしょうかね。あそこにいる連中が仕事もしないでそのままずっと一生いるとでも思っているんだろうか。それなのにボロカスに言う。若い人と分かり合うなんて、あり得ないですよね。

日本はものづくりのDNAがあるからとか、精神論ばかり唱えている。この前の戦争と同じように、また日本が精神論でね、失敗するんじゃないかという気がして心配ですね。
製造業がおかしくなってから、みんなものづくりものづくりと言いだしていて、その割には職人技ばっかり褒めたたえるんですよね、どうかすると宮大工とか塗り物師とか。今、法隆寺を造ったってどうしようもないのにね。ものづくりのDNAなんて、そんな話は世界で通りませんよ。


松浦 元男 樹研工業代表取締役日経ものづくり11月号から引用


決して若者とはいえなくなってしまった私ですが、こういうことを言えるってすごいですね。
製造業復活と言われている今だからこそ、こういう声は貴重だと思います。