ハンセン病患者と不潔なホームレスを同一視してはいけない


アイレディース宮殿黒川温泉ホテルのハンセン病元患者宿泊拒否事件を思い起こしてください。あの問題が起きたときに、「いや実際ハンセン病の連中は○○だよ」といったような実体験とやらに基づいて、「ハンセン病元患者たちとの共存」という理想を、「理想論だ」と一蹴した人がいたでしょうか?*2

しかしこういう声が聞こえてきます。

ホームレスは病気と違って自己責任だろ? 病人と一緒にするなんておまえ問題発言だぞ?

ここで「うんうんそうだよな」と感じた人はいなかったでしょうか。しかし実はこうした発言にこそ、ホームレスに対する無理解と偏見、差別心が凝縮されているのです。

いやいやいや、ハンセン病元患者と、不潔なホームレスを一緒にするなんて、明らかに問題発言でしょう。だってハンセン病元患者は、不潔でもないし、他の利用者に迷惑でもないんですから*1。無理解と偏見により、今もなお差別があるというのが問題なのです。ですから「実体験」なんてあるわけがないのです。

なお、不潔な人に対する宿泊拒否は、多くの都道府県で条例で認められています。↓は北海道のもの。ここまで明文化されていなくても「他の宿泊者に著しく迷惑を及ぼすおそれ」とかの文言はたいていありますね。


第10条 法第5条第3号の条例で定める事由は、次のとおりとする。
(2) 宿泊しようとする者の服装又は携帯品が、著しく不潔で、他の宿泊者の衛生の保持に支障があると認められるとき。


第五条  営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
三  宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。

*1:ハンセン病は治る病気で(だから「元患者」なんです)、元患者の外見上の身体の変形は後遺症に過ぎません。元患者から感染する危険はゼロですし、もちろん遺伝もしません。詳しくは厚労省のページ参照。