十分豊かなのに、出生率が上がらない国の共通点


調査対象は05年時点でHDIが0・85以上の日米欧など37か国。その結果、HDIが高くなるほど出生率は低下したが、HDIが0・85〜0・90に達した段階で、出生率が逆に上昇する傾向があることがわかった。
 例えば、米国は76年(HDI0・88)、イタリアは94年(同0・90)に、出生率が増加に転じた。この傾向の明らかな例外は日本、韓国、カナダだった。日本では05年にHDIが0・94まで上昇したが、出生率は1・26で過去最低になった。
 HDIが特定水準を超えると出生率が上がることについて、同大のハンスペーター・コーラー教授は「発展に伴い、女性の働く環境や保育・教育施設が整備され、晩婚化や高い育児・教育費用などのマイナス面を補うから」と説明。 


日本、韓国、カナダが例外、ということで、その3ヶ国について、人間開発指数HDI(各国の生活の質と発展度合いを指数化したもの)と、ジェンダーギャップ指数(男女平等の度合いを指数化したもの)を比べてみました。
指数を直接比較はできないので、順位で比較してみると・・・


国名人間開発指数ジェンダーギャップ指数
日本8位98位
韓国25位108位
カナダ3位31位


人間開発指数ここジェンダーギャップ指数はここより。両者とも2008年の数値。


どの国も、人間開発指数の順位より、ジェンダーギャップ指数の順位が大きく下位であるのが共通した特徴です。どうやら、ここからもハンスペーター・コーラー教授の「発展に伴い、女性の働く環境や保育・教育施設が整備され、晩婚化や高い育児・教育費用などのマイナス面を補うから」という説明は当たっているように思われます。

女性の働く環境や保育・教育施設を整備することは、少子化対策にも繋がりそうですね。



ブクマにお返事


b:id:memo28 ネタ なぜ順位を使うのかよくわからない。カナダの順位は2007年は18位、2006年は16位。

順位を使う理由ですが、どちらの調査であっても、調査対象の国の数は(ほぼ)同じなので、順位が「パーセンタイルランク」に比例する関係になるからです。指数そのままでは定義が違うので比べられないですが、「パーセンタイルランク」なり「偏差値」なりに変換すれば比較可能になりますよね。

カナダの昔の順位(ジェンダーギャップ指数のほうですよね?)はもう少し良かったんですね。経年変化とかも考慮すればもう少し何か考察できるのかもしれません。



b:id:m-matsuoka 社会, これはひどい 都合のよい統計をならべただけ。人間開発指数の順位とジェンダーギャップの順位の比が1:5であることがわかるだけ。

調査対象の国の数はほぼ同じなので、「人間開発指数の順位とジェンダーギャップの順位の比が1:5」が *全ての国* に対して成り立つことはあり得ないのは自明ですよね。

「十分豊かなのに、出生率が上がらない国」に限って「人間開発指数の順位とジェンダーギャップの順位の比が1:5」であるというのであれば、そこから何を読み取るのかという話になるでしょう。もちろん、仮説レベルになるでしょうけど。



b:id:rocky 政治, 社会, 少子化 こんなデータ出されてもな。実際子どもを育てようと思ったら、共働きでないほうが、良いってことは簡単に実感できるはずだが。

 ・ 夫は1日12時間働く企業戦士。妻は専業主婦。
 ・ 夫も妻も育児短期勤務制度で1日6時間勤務。昼間は子供は保育園。
高度成長期は前者が普通でしたけど、もしかしたら後者のほうが「良い」というようにも思えませんか? もちろん、後者は現時点では困難で、かつ未体験の領域なので「実感」することはできませんけど。未来像としては悪くないのではないかと私は思います。



b:id:ROYGB 出生率の上がっているアメリカの5位と27位や、オーストラリアの4位と21位なら大きな差ではないと言えても、イタリアの19位と67位を見るとあまり関係ないんじゃないかと思う。

これは正直難しい問題ですね。相関をちゃんと調べるにはもっと精密な統計的調査が必要です。私が書いたのはもちろん仮説レベルの話です。

ただ、また適当な仮説を言うと、イタリアは1994年に出生率が上昇に転じたとのことですが、現時点での絶対的水準は低い(緑の線から下にだいぶ外れている)ので、「上昇の勢い」に影響があるという説明もできるかもしれません。
日本も2006年から出生率が上昇に転じていますがまだ微増のレベルです。この上昇を加速させるためにはどうすればいいのか。考えどころだと思います。