大増税時代にはリスクテイクは不利になる(試算付き)


重税国家における負け組は、高所得サラリーマン
高所得サラリーマンは、会社勤めのため、実際に仕事で使っているものであっても経費で落とせず、本来なら課税されるべきでない必要経費にまで重税をかけられまくることも多く、税負担は実際の税率以上に過酷なものになる。

起業にリスクがないのであればそのとおりであると思います。ただし、実際には起業にはリスクがつきものです。実際には、重税下ではリスク回避が有利になるので、安定した大企業や公務員のサラリーマンであることが有利になると考えます。以下で試算をします。

まず、簡単のため所得税だけを考え、さらに所得*1のベースで考えます。
現在は、課税前年間所得が750万円*2のサラリーマンであるとします。ここで、

  • 起業をしなければ、100%の確率でずっと年間所得は750万円のままであるとします。
  • 起業をすれば、50%の確率で成功し、年間所得1,500万円になり、50%の確率で、年間所得200万円のワーキングプアになるとします。

この前提で、現在の所得税率(国税庁タックスアンサーを参照)によって税額と手取りを計算すると、

年間課税前所得(A)所得税(B)手取り所得(A)-(B)
2,000,000円102,500円1,897,500円
7,500,000円1,089,000円6,411,000円
15,000,000円3,414,000円11,586,000円

となります。よって、

  • 起業しないときの手取り所得期待値 = 6,411,000円
  • 起業をしたときの手取り所得期待値 = 1,897,500円×0.5 + 11,586,000円×0.5 = 6,741,750円

となり、起業をしたときのほうが手取り所得期待値は大きくなります。


もし、所得税が一律現在の2倍になったとします。

同様に計算をすると、

年間課税前所得(A)所得税(B)手取り所得(A)-(B)
2,000,000円205,000円1,795,000円
7,500,000円2,178,000円5,322,000円
15,000,000円6,828,000円8,172,000円

となります。よって、

  • 起業しないときの手取り所得期待値 = 5,322,000円
  • 起業をしたときの手取り所得期待値 = 1,795,000円×0.5 + 8,172,000円×0.5 = 4,983,500円

となり、起業をしたときのほうが手取り所得期待値は少なくなります。


ここでは、単純にどの所得層でも税額が現在の倍になる*3ことを想定していますが、実際は、もっと金持ちに重く増税累進課税強化)する可能性も高いものと思われます。そうすると、起業はさらに不利になります。

ということで、来るべき大増税時代に向けては、現在安定した大企業や公務員のサラリーマンである勝ち組の方々は、起業などというリスクをとるようなことはゆめゆめ考えず、現在の椅子を死守するように心がけることがよい戦略なのではないでしょうか?


*1:収入、じゃないという意味です。

*2:ここで、ぜんぜん高所得じゃないじゃないか!と感じ悪い突っ込みはしないでください。

*3:100%の定率増税