わざと誤解する戦術の例

http://ulog.cc/a/fromdusktildawn/17554

まったくその通りですね。そのよい具体例を、最近見つけました。



しかし最近の文脈では「短納期化と低コスト化する中で、ユーザーの要件を確実に、高品質に、より短期間で提供できていない」という課題に対して、「低コストで速く作れるソフトウェア開発」というニーズに応えるものが必要で、それを「アジャイル開発」と呼んでいるようです。

と書いてありますが、その元ネタのNTTデータのサイトを見ても、「安い」「低コスト」なんてどこにも書いてありません。過去のNTTデータのリリースや記事にもそのようなことは書いてありません。そもそも、SI業界1位のNTTデータは、低コストを武器にして案件を受注するタイプの会社ではないはずです。

つまり、「そう言いかねない」というだけで勝手にでっち上げた話と言えるでしょう。

ただし、これは橋下市長のような「発狂トリガー」ではないので、ネット上で炎上はしません。ブックマークを見ても、みんな「そうだそうだ」の大合唱です*1

アジャイルという新しい考え方に深くコミットするITエンジニアが、情報リテラシーが低いはずがない*2ので、これは故意でしょう。つまり、「リテラシーがないから誤解した」のではなく、「誤解した方が得だから誤解した」のです。

これがまさに、id:fromdusktildawn 氏のいう


しかも、この「誤解した方が得なときに誤解する」という行動は、なかなかに効果的で、それは職場でも家庭でも友人知人関係でも、日常いたるところで行われている権力闘争の一形態だし、それが大きなうねりになって、政治を動かし、歴史を動かしていく。
しかも、さらにやっかいなことに、それが結果的に正義を実現することもある。
手段は邪悪でも、必ずしも、それが引き起こす結果まで邪悪とは限らないのだ。
正義の実現に卑怯な手段が使われたことなど、いくらでもあったのが、人類の歴史だ。

でしょうね。
「人民の敵」であるITゼネコンをけなすという「正義*3」の実現のためには、これは仕方のないことなのです。:-p


こうやって考えると、むしろ、あるキーワードが「発狂トリガー」であるうちは、まだ健全なのかもしれませんね・・・



*1:ちなみに、私もそう書いています。その方が得ですからね。

*2:ここは議論の余地アリかも。

*3:ネット世論内の正義、特にスラドはてな・マ板系の世論ですかね。